深海探査プロジェクト「Team KUROSHIO」見学体験会レポート

今年度、GPリーグのオフィシャルスポンサーとして協力をしてくださった、ヤマハ発動機がこれまたパートナー契約しているという、深海探査プロジェクト「Team KUROSHIO」の見学会に1都3県決勝大会優勝&準優勝チームをご招待していただいたので、潜入取材を行いたいと思う。

集合場所は、国立研究開発法人海洋研究開発機構 横須賀本部。全く、私が生きてきた人生では、聞いたことのないような名称である。
海洋研究開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology、通称:JAMSTEC ジャムステック)(http://www.jamstec.go.jp/j/)は、平和と福祉の理念に基づき、海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力等の業務を総合的に行うことにより海洋科学技術の水準の向上を図るとともに、学術研究の発展に資することを目的とした組織とのこと。チョー簡単に言えば、地球と海について調べているというところだろうか・・・。


敷地に入ってまず目に入ったのが、ドーンと大きい船(のちに、まさかこれに乗れることになるとはつゆ知らず・・・)


本日の会場に通され、若干緊張気味にしている優勝:PCファイターS(奥)と準優勝:サイバープロチーム(手前)の面々

まず初めに、「Team KUROSHIO」メンバーから、JAMSTECとは?「Team KUROSHIO」(https://team-kuroshio.jp/)とは?の説明を受ける。

私も聞いてみてびっくりしたが、この深海探査プロジェクト「Team KUROSHIO」がすごかった!水深4,000m級の海域で自律型海中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle、通称:AUV)等を用い、海底広域3Dマップの構築とターゲットの写真撮影にチャレンジし、世界22か国からエントリーした32チームがその精度やスピードを競う「Shell Ocean Discovery XPRIZE」という大会で優勝を目指すプロジェクトなのだ!!!なんと賞金は、総額約8億円なんだとか・・・。
もう、規模が大きすぎてわけがわからない。そしてなんとこの「Team KUROSHIO」が、決勝戦にコマを進めているというのだから、二度ビックリ。


ここにいらっしゃる方々は、地球表面の2/3を覆っているが、未だに謎に包まれた海にロマンを追い求める精鋭集団なのだ。

そして、座学終了後、いよいよ移動して、様々な施設の見学会が実施された。

最初は、潜水調査船整備場。
ここでは、最新のAUVを間近で見ることができた。このマシンが水深4,000メートルまで、自律的に潜航するというのだから、驚きだ。一通り説明を受けたところで、質問コーナーとなったが、いち早く反応したのは同伴した保護者だった。みな、少々興奮気味に質問をしていた。

やはり、プログラミングバトル大会で優勝、準優勝したチームの保護者なので、最初に出た質問は、プログラミング言語は何を使っているのか?であった。C言語で、OSはLinuxとのこと。
ちなみに、深海は光も通らない真っ暗闇。しかも、早いところでは約4ノット(時速約7.4Km)もの潮流があるそうだ。なので、この潮流の中でも目的の調査を果たすために自律的に航行できるようなプログラムを組んでいるという。

海中では1秒間に約1,500mの距離を音が伝わるので、発信した音が返ってくる時間でどのくらいの距離なのか、音の反射の強弱でどんな地質をしているのかを調べることができる。また、光も電波も届かない深海で、自分の位置を正しく知るために積分などの様々な計算が必要とのこと。
やはり、プログラミングだけできればよいのではなく、数学や、様々な知識を活用してこのような素晴らしいプロジェクトを遂行しているといえよう。

次に、隣のスペースにあったのは、深海巡航探査機「うらしま」。こちらは、1998年からJAMSTECが開発を進め、運用している自律型の深海探査ロボットだそうだ。

いよいよ次は、なんとあの最初に目に飛び込んできた大きな船、海底広域研究船「かいめい」の船内見学!

幅20.5m、全長100m、定員65名(うち38名が研究者で、その他は船員)で、海底資源の分布等海底の広域調査を効果的に行うとともに、鉱物・鉱床の生成環境を捉える総合的科学調査を可能とする最新鋭の研究船だ。
船内はまるで、迷路のように入り組んでおり、様々な部屋を見学できた。

研究者のお腹を満たす食堂、金曜日はカレーだろうか・・・?



そして、この日、見学者全員が興奮したのは、なんといっても、操舵室ではないだろうか。ここは、そう易々と入れる場所ではない、しかもこの少人数。贅沢な体験をさせてもらった。


海図を目の前にして、気分は航海士さながら


海洋資源のサンプル採取のための海底設置型掘削装置

次の見学場所は、海洋科学技術館。


ここでも興奮ポイントが・・・。深度6,500mまで潜ることができる深海調査船「しんかい6500」の1/1模型が展示されていて、ここでコックピットに入ることができたのだ。「しんかい6500」は1989年に完成、海底の地形や地質、深海生物などの調査を行い、2017年には通算1500回目の潜航を達成した。現在運航中の大深度まで潜ることのできる有人潜水調査船は、世界でも7隻しかないんだそう。

このコックピットが激狭で、なんと3名しか入れない・・・。子供が3人でも狭く感じる。これで長ければ9時間も潜航しているというのだから、恐ろしいことだ。
「しんかい6500」の操縦士になるためには、まず陸上で「しんかい6500」の構造を把握し、整備の実務経験を何年も積む必要があるらしい。
確かに、深海で何か機材トラブルが起きてしまい、それに対処できなければ、考えるだけでも恐ろしい事態となる。それだけのプレッシャーと責任を背負って任務にあたっている精神力は敬服に値する。


わかりやすく、馴染みのあるブタメンと、金属バットが深海ではどうなるかが展示されていた。これだけの圧がかかるということが一目瞭然でわかる。

この技術館の見学をもって、一日のプランが終了。
最後に素敵なお土産がありました。

自分たちが今、一生懸命になってやっているプログラミングが、様々なところで活躍していることを目の当たりにできたことだろう。


今日のこの体験が、子供達にとって将来何かを目指すときのきっかけになってくれたら、それは素晴らしいことだ。
GPリーグは、大会や、今日のこのような体験を通じて、多くの子供たちの将来の夢に向かって何かを突き動かすきっかけになってくれることを願い、今後も活動を続けていきたいと思う。

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【2018年度1都3県大会 ヤマハ発動機賞】
<開催概要>
・名称:深海探査プロジェクト「Team KUROSHIO」見学体験会
・日程:2018年10月8日(月祝)
・施設:国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)横須賀本部

<参加者>
◆優勝チーム:PCファイターS(埼玉県代表/幹事校:日本工業大学)
 岩本智志・大沼柊斗・制野航太・山田悠介

◆準優勝チーム:サイバープロ(千葉県代表/幹事校:千葉工業大学)
 川崎直紀・坂田昂音・清水春花・杉本樹洋
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2018.10.23